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朝いちばんに見上げた、アイガー(Eiger)の北壁。昨夜の雨は上がり、岩肌にうっすらと雪化粧をしていた。この巨大な壁を横目に、今日の一日が始

Day 7 · 2012.09.14

ユングフラウヨッホへ

朝いちばんに見上げた、アイガー(Eiger)の北壁。昨夜の雨は上がり、岩肌にうっすらと雪化粧をしていた。この巨大な壁を横目に、今日の一日が始まる。

グリンデルワルトで迎えた朝。今日はこの旅のいちばんの楽しみ、標高3454mの「ユングフラウヨッホ(Jungfraujoch)」へ。ただ登るだけではもったいないので、まずは対岸の展望台メンリッヒェンへ上がり、雪をかぶった稜線をクライネ・シャイデックまで歩いてから、ユングフラウ鉄道で頂を目指すことにした。昨日までの雨が嘘のような、みごとな快晴の一日になった。

※写っている人物の顔は、プライバシー保護のためキャラクターに置き換えています(夫・妻それぞれ固定のキャラ)。背景・風景、および遠くに写る通行人はそのままです。

宿を早めに出て、グリンデルワルト(Grindelwald)の駅へ。発車案内には「Kleine Scheidegg(Jungfraujoch)
宿を早めに出て、グリンデルワルト(Grindelwald)の駅へ。発車案内には「Kleine Scheidegg(Jungfraujoch)」の文字が並ぶ。ホームから見上げる空は、うれしいことに青い。妻も気合いが入っている。
まずはグリンデルワルト・グルント(Grund)へ。広々とした駅前の向こうに、アイガーの峰々がそびえる。ここからロープウェイに乗って、谷をはさ
まずはグリンデルワルト・グルント(Grund)へ。広々とした駅前の向こうに、アイガーの峰々がそびえる。ここからロープウェイに乗って、谷をはさんだ対岸の展望台メンリッヒェンを目指す。
朝の澄んだ空気のなか、広い駅前を妻が先に歩いていく。ぐるりと山に囲まれて、どちらを向いても絵になる。
朝の澄んだ空気のなか、広い駅前を妻が先に歩いていく。ぐるりと山に囲まれて、どちらを向いても絵になる。
メンリッヒェン(Männlichen)行きのゴンドラ乗り場。年季の入った赤い小さなキャビンに、係の人がリュックを積み込んでくれる。二人乗りの
メンリッヒェン(Männlichen)行きのゴンドラ乗り場。年季の入った赤い小さなキャビンに、係の人がリュックを積み込んでくれる。二人乗りのかわいらしい箱で、いよいよ空中散歩の始まりだ。
ゴンドラが上がり始めると、眼下にグリンデルワルトの木造の家並みと、色づきはじめた牧草地がゆっくりと広がっていく。
ゴンドラが上がり始めると、眼下にグリンデルワルトの木造の家並みと、色づきはじめた牧草地がゆっくりと広がっていく。
赤いキャビンがワイヤーを伝って昇っていく。真下の斜面では牛がのんびり草を食み、細い一本道が続いていた。高度が上がるにつれ、空気がひんやりして
赤いキャビンがワイヤーを伝って昇っていく。真下の斜面では牛がのんびり草を食み、細い一本道が続いていた。高度が上がるにつれ、空気がひんやりしてくる。
メンリッヒェンの尾根に到着。道標には Kleine Scheidegg、Wengen、Lauterbrunnen の文字。あたりは前夜に降っ
メンリッヒェンの尾根に到着。道標には Kleine Scheidegg、Wengen、Lauterbrunnen の文字。あたりは前夜に降ったらしい雪で、うっすらと白くなっていた。
掲示されていたエリアの路線図。これから歩く稜線と、目指すユングフラウヨッホ(Top of Europe)の位置をあらためて確認する。地図で見
掲示されていたエリアの路線図。これから歩く稜線と、目指すユングフラウヨッホ(Top of Europe)の位置をあらためて確認する。地図で見ると、ぐるりと一周する行程がよくわかる。
尾根から見わたす大パノラマ。うっすら雪をまとった斜面の向こうに、幾重にも連なる峰々と、抜けるような青空。思わず足が止まる眺めだ。
尾根から見わたす大パノラマ。うっすら雪をまとった斜面の向こうに、幾重にも連なる峰々と、抜けるような青空。思わず足が止まる眺めだ。
ここからクライネ・シャイデックまでは、稜線をたどる有名なパノラマハイキングコース。うっすら雪の積もった道を、妻が先に歩いていく。正面にはアイ
ここからクライネ・シャイデックまでは、稜線をたどる有名なパノラマハイキングコース。うっすら雪の積もった道を、妻が先に歩いていく。正面にはアイガーとメンヒ。
立ち止まって、その眺めに見入る夫。左右どちらを向いても、雪をかぶった山、山、山。9月半ばとは思えない、静かな雪景色だった。
立ち止まって、その眺めに見入る夫。左右どちらを向いても、雪をかぶった山、山、山。9月半ばとは思えない、静かな雪景色だった。
道の途中の「Wanderweg(ハイキング道)」の道標。眼下には、切れ込んだラウターブルンネンの深い谷がのぞく。
道の途中の「Wanderweg(ハイキング道)」の道標。眼下には、切れ込んだラウターブルンネンの深い谷がのぞく。
足もとは雪、その先に岩、そして遠くの峰々。標高2000mを超えると、9月でもすっかり冬の入口だ。
足もとは雪、その先に岩、そして遠くの峰々。標高2000mを超えると、9月でもすっかり冬の入口だ。
ときどき立ち止まっては、空を見上げる。刷いたような薄い雲と、どこまでも青い空。
ときどき立ち止まっては、空を見上げる。刷いたような薄い雲と、どこまでも青い空。
雲の切れ間から谷に光が差し込んで、斜面の雪と緑がまだらに輝いていた。刻々と表情を変える山の景色に、歩く足取りも軽くなる。
雲の切れ間から谷に光が差し込んで、斜面の雪と緑がまだらに輝いていた。刻々と表情を変える山の景色に、歩く足取りも軽くなる。
岩の上に、誰かが作った小さな雪だるまがちょこんと。こんな遊び心に出会えるのも、雪道歩きの楽しみだ。
岩の上に、誰かが作った小さな雪だるまがちょこんと。こんな遊び心に出会えるのも、雪道歩きの楽しみだ。
歩くほどに近づいてくる、ユングフラウ(Jungfrau)の白い頂。午前の光を受けて、輝くように白い。
歩くほどに近づいてくる、ユングフラウ(Jungfrau)の白い頂。午前の光を受けて、輝くように白い。
道ばたのベンチには「IN MEMORY OF KENNETH JAMES BLUNDELL 1921–2004」の銘板。この絶景を愛した人の
道ばたのベンチには「IN MEMORY OF KENNETH JAMES BLUNDELL 1921–2004」の銘板。この絶景を愛した人の記念に置かれたものだろう。腰かければ、正面に雪の峰。
稜線を下るにつれ、雪はまだらになり、また緑の牧草地が顔を出す。道標が、クライネ・シャイデックの近いことを告げていた。
稜線を下るにつれ、雪はまだらになり、また緑の牧草地が顔を出す。道標が、クライネ・シャイデックの近いことを告げていた。
「letzte Talfahrt(最終下り便)Grindelwald / Wengen 17.30」。ロープウェイの案内看板。帰りの時間を頭
「letzte Talfahrt(最終下り便)Grindelwald / Wengen 17.30」。ロープウェイの案内看板。帰りの時間を頭の片隅に置きつつ、先へ進む。
こんな高いところにも牛が。首の鈴を鳴らしながら、雪の残る斜面で草を食んでいた。眼下には、目指すクライネ・シャイデックの駅と建物が見えてきた。
こんな高いところにも牛が。首の鈴を鳴らしながら、雪の残る斜面で草を食んでいた。眼下には、目指すクライネ・シャイデックの駅と建物が見えてきた。
クライネ・シャイデックのレストラン「グリンデルワルトブリック」のテラスに到着。ベンチに腰かければ、正面にアイガー・メンヒ・ユングフラウの三山
クライネ・シャイデックのレストラン「グリンデルワルトブリック」のテラスに到着。ベンチに腰かければ、正面にアイガー・メンヒ・ユングフラウの三山を独り占め。歩き切ったごほうびのような眺めだ。
そのレストラン「Restaurant GRINDELWALDBLICK」。青い鎧戸と木の壁の、いかにも山小屋らしいたたずまい。名前のとおり、
そのレストラン「Restaurant GRINDELWALDBLICK」。青い鎧戸と木の壁の、いかにも山小屋らしいたたずまい。名前のとおり、グリンデルワルトの山々を見晴らす特等席だ。
歩いたあとの一杯は格別。地ビール「RUGEN BRÄU(ルーゲンブロイ)」を、雪の峰を眺めながら。グラスに山が映り込みそうな、贅沢な時間。
歩いたあとの一杯は格別。地ビール「RUGEN BRÄU(ルーゲンブロイ)」を、雪の峰を眺めながら。グラスに山が映り込みそうな、贅沢な時間。
山肌を見上げながら、もう一本。雪をかぶったユングフラウがすぐそこに見える、最高のロケーションだった。
山肌を見上げながら、もう一本。雪をかぶったユングフラウがすぐそこに見える、最高のロケーションだった。
陽の当たるテラスで、しばしの休憩。スイス国旗がはためき、目の前には雪の峰。昨日までの雨が嘘のような快晴に、すっかり長居してしまった。
陽の当たるテラスで、しばしの休憩。スイス国旗がはためき、目の前には雪の峰。昨日までの雨が嘘のような快晴に、すっかり長居してしまった。
さて、いよいよ本命へ。「Kleine Scheidegg 2061m」の駅から、ユングフラウ鉄道に乗り換える。ここが、ヨーロッパの頂への玄関
さて、いよいよ本命へ。「Kleine Scheidegg 2061m」の駅から、ユングフラウ鉄道に乗り換える。ここが、ヨーロッパの頂への玄関口だ。
ホームに入ってきた、ワインレッドのユングフラウ鉄道(JUNGFRAUBAHN)の車両。ここから終点までは、その大半がトンネルの中の急勾配。岩
ホームに入ってきた、ワインレッドのユングフラウ鉄道(JUNGFRAUBAHN)の車両。ここから終点までは、その大半がトンネルの中の急勾配。岩盤をくり抜いた線路を、ぐんぐん登っていく。
トンネルを登り切り、終点ユングフラウヨッホ(Jungfraujoch)に到着。駅の構内には「TOP OF EUROPE」の大きな看板と、スイ
トンネルを登り切り、終点ユングフラウヨッホ(Jungfraujoch)に到着。駅の構内には「TOP OF EUROPE」の大きな看板と、スイスらしい絵はがき——セントバーナード犬、マーモット、アイベックス、エーデルワイス——を敷きつめた壁。さっそく記念に一枚。
そして、これがお目当ての看板。「JUNGFRAUJOCH — TOP OF EUROPE / 3454m・11,333ft」。ヨーロッパでい
そして、これがお目当ての看板。「JUNGFRAUJOCH — TOP OF EUROPE / 3454m・11,333ft」。ヨーロッパでいちばん高い鉄道駅に、ついに立った。
駅の構内には、ユングフラウ鉄道を構想した実業家アドルフ・グイヤー=ツェラーの胸像。「A. GUYER-ZELLER 1839–1899」。こ
駅の構内には、ユングフラウ鉄道を構想した実業家アドルフ・グイヤー=ツェラーの胸像。「A. GUYER-ZELLER 1839–1899」。この人の夢が、岩盤を貫く鉄道になった。
「JUNGFRAUJOCH – TOP OF EUROPE 3571M」。最高地点スフィンクス展望台へ上がるエレベーター前の、大きな青い看板
「JUNGFRAUJOCH – TOP OF EUROPE 3571M」。最高地点スフィンクス展望台へ上がるエレベーター前の、大きな青い看板。3571mは、その展望台の標高だ。
スフィンクス展望台からの眺め。眼下には、アルプス最長のアレッチ氷河(Aletschgletscher)が、白い大河のように谷を下っていく。ユ
スフィンクス展望台からの眺め。眼下には、アルプス最長のアレッチ氷河(Aletschgletscher)が、白い大河のように谷を下っていく。ユネスコの世界自然遺産に登録された、圧巻の氷の流れだ。
展望台の気温表示は「-10.9℃」。ふもとは秋でも、ここはもう真冬。ガラス越しでも、空気の冷たさが伝わってくる。
展望台の気温表示は「-10.9℃」。ふもとは秋でも、ここはもう真冬。ガラス越しでも、空気の冷たさが伝わってくる。
建物の外、雪原に出られるスノーエリアへ。「Jungfrau Railway」ののぼりの先で、多くの人が雪と戯れていた。9月に真っ白な雪の上を
建物の外、雪原に出られるスノーエリアへ。「Jungfrau Railway」ののぼりの先で、多くの人が雪と戯れていた。9月に真っ白な雪の上を歩けるのは、やっぱり特別な気分。
一面の雪原と、その上を整備する雪上車。豆粒のような人影が、この氷河の雪原のとほうもない広さを物語っている。
一面の雪原と、その上を整備する雪上車。豆粒のような人影が、この氷河の雪原のとほうもない広さを物語っている。
どこまでも続くアレッチ氷河の雪原と、青い空。標高3400m、まさに「ヨーロッパの頂」に立っているのだと実感する。
どこまでも続くアレッチ氷河の雪原と、青い空。標高3400m、まさに「ヨーロッパの頂」に立っているのだと実感する。
駅とつながった展示回廊「アルパイン・センセーション(Alpine Sensation)」を歩く。エーデルワイスの飾りと星形のライトに囲まれて
駅とつながった展示回廊「アルパイン・センセーション(Alpine Sensation)」を歩く。エーデルワイスの飾りと星形のライトに囲まれて置かれていたのは、スイスの街や山、牛や登山鉄道までぎっしり作り込まれた巨大なスノードーム「little dream of Switzerland」。中をのぞき込むと、思わず笑顔になる愛らしさだ。
回廊の途中には、岩から立ち上がるように造られた一体の像。ふたたびアドルフ・グイヤー=ツェラーだ。硬い岩盤を掘り抜いてこの高みまで線路を通す—
回廊の途中には、岩から立ち上がるように造られた一体の像。ふたたびアドルフ・グイヤー=ツェラーだ。硬い岩盤を掘り抜いてこの高みまで線路を通す——19世紀末の途方もない夢が、いまこうして形になっている。青い照明に浮かぶ像の隣で、握手を一枚。
そろそろ下山。クライネ・シャイデックまで降りてくると、アイガーとメンヒが午後の光を浴びていた。朝から一日、本当にいい天気に恵まれた。
そろそろ下山。クライネ・シャイデックまで降りてくると、アイガーとメンヒが午後の光を浴びていた。朝から一日、本当にいい天気に恵まれた。
ホームには、また赤いユングフラウ鉄道の車両。ここで、グリンデルワルト方面へ戻る列車に乗り換える。
ホームには、また赤いユングフラウ鉄道の車両。ここで、グリンデルワルト方面へ戻る列車に乗り換える。
クライネ・シャイデックの駅前広場。売店やレストランが並び、多くのハイカーや観光客で賑わっていた。標高2000mの、山あいの小さな交差点だ。
クライネ・シャイデックの駅前広場。売店やレストランが並び、多くのハイカーや観光客で賑わっていた。標高2000mの、山あいの小さな交差点だ。
下りの列車を待つあいだ、もう一枚。空はすっかり晴れわたり、朝は雲に隠れていた峰が、真っ青な空の下にくっきりと姿を現していた。緑の斜面と、雪を
下りの列車を待つあいだ、もう一枚。空はすっかり晴れわたり、朝は雲に隠れていた峰が、真っ青な空の下にくっきりと姿を現していた。緑の斜面と、雪をまとった山肌のコントラストが見事だった。
帰りは黄色いヴェンゲルンアルプ鉄道(WENGERNALPBAHN)で。世界最長のラック式登山鉄道の一部で、急な斜面をゆっくりと下っていく。
帰りは黄色いヴェンゲルンアルプ鉄道(WENGERNALPBAHN)で。世界最長のラック式登山鉄道の一部で、急な斜面をゆっくりと下っていく。
車窓から、名残惜しくもう一度ユングフラウの頂を。午後の日差しに、白い峰がくっきりと浮かんでいた。
車窓から、名残惜しくもう一度ユングフラウの頂を。午後の日差しに、白い峰がくっきりと浮かんでいた。
グリンデルワルトの駅まで戻ってきた。夕方の駅前は、山から下りてきた人たちでいっぱい。快晴に恵まれた、忘れられない一日になった。宿へ帰って、明
グリンデルワルトの駅まで戻ってきた。夕方の駅前は、山から下りてきた人たちでいっぱい。快晴に恵まれた、忘れられない一日になった。宿へ帰って、明日は旅の締めくくり、チューリッヒへ向かう。